ピクトリアリズム

写真を撮る人であれば、作品を絵のようにしたいと思ったことはありませんか?最近のデジタルカメラは性能が良すぎて、画素数が高く、画像が非常に鮮明です。撮り進めるうちに違和感を感じ、だんだんと輪郭をぼかすようになっていきました。そのうち自分の志向しているものが、実物を忠実に写すというよりも、写真で絵を描く感覚に近いということが分かりました。

このように写真を絵のようにぼかして撮る方法を、ピクトリアリズムといいます。ピントを絞り込まず、ソフトフォーカスを使うこの手法は、イギリスでは19世紀の終わりに、日本では大正時代に流行したそうです。ピクトリアリズムを意識して作られた当時の写真には、面白いものがたくさんあります。

同様に色彩に関しても、最近のカメラの高性能化に伴って、人間が普通に捉える以上の色を捉えているように思えてなりません。これにも不自然な印象を拭えず、普段時分が撮るときには、変な鮮やかさが出ないよう、極力色味を抑える努力をしています。

アナログ人間なので、文明の利器が発達しすぎると、その反動として逆を志向する気持ちが強くなります。いっそフイルムカメラにした方がいい位なのかもしれませんが、かといってデジタルの便利さは止められません。これからもデジタルを使いつつ、ピクトリアリズムを重視する傾向は続いていきそうです。

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「空からの力」